「引き寄せの法則」について、ちょっとだけ科学的に考えてみる【引き寄せシリーズ1】


公開日:2014年1月6日( 最終更新日:2018年3月8日 ) [ 記事 ]
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こんな願望も、心の中に抱き続ければ、まるで磁石が砂鉄を引き付けるかのように現実のものとして手に入れることができてしまう……。

いわゆる「引き寄せの法則」は、そんな耳を疑いたくなるようなことを平然と主張してきます。

磁界と砂鉄 画像:“Magnetic Fields – 15” by Windell Oskay
多くの人が必死に求めながらも簡単には手に入らないものが、心の中にイメージを思い描くだけで手に入ってしまうというのですから、なんとも怪しげでありながらも、その不思議な魅力には心惹かれるものがあります。

常識的に考えれば、真面目に考えるのもバカバカしいような法則ですが、もしこの法則の中にほんの少しでも真実が含まれているとしたら、簡単に切り捨ててしまうのはもったいないのかもしれません。
そこで、いくつかの記事に分けて、いわゆる「引き寄せの法則」がどの程度真実味のある法則なのかを考えてみたいと思います。

題して『引き寄せの法則をちょっと科学的に』シリーズです。

地に足をつけて、引き寄せの法則について考える

ところで、“科学的”という言葉を使いましたが、これは学問的に厳密に議論をしたいという意味ではありません。

残念ながら、今の私には学問的に厳密な議論ができるだけの材料もなければ、時間もありません。

もちろん、あるテーマについて大変な時間や労力をかけて学問的に追及していくことは大切なことだと思います。

しかしそれとは逆に、理屈を突き詰めて考えても間違いなく正しいだろうと言えるようなことはできなかったとしても、ある程度真実味があるのであれば、世に広めることも大切なことなのではないかと思います。

なぜならば、あることが学問的に認められるようになるまでには、一般的に大変な時間がかかることが多いからです。それを待っていたのでは、仮に引き寄せの法則が学問的にも認められる日が来たとしても、そのころには引き寄せの法則を使おうにも、私たちはもうこの世に居ない……ということにもなりかねません。

そこでこのシリーズでは、必ずしも厳密ではなかったとしても、学術的な調査結果や、私たちが日常的にする体験などを参考にしながら、ある程度地に足をつけて「ちょっとだけ科学的に」引き寄せの法則について考えていきたいと思います。
その点は十分ご注意の上で、このシリーズをご覧いただければと思います。

引き寄せの法則は、神秘的な奇跡現象!?

ところで、私がこのような記事を書こうと思った裏には、次のような背景があります。

少なくとも現状では、いわゆる引き寄せの法則はまだまだ多数の人から常識だと信じられるような代物ではありませんが、その一方で少なくない人数の人たちが引き寄せの法則を信じているというのもまた事実かと思います。

しかし、世間ではなにか奇跡的な現象であるかのように、引き寄せの法則が喧伝されているように見えます。

もちろん、私は引き寄せの法則の奇跡的な側面を否定したいわけではありませんし、それどころかそんな側面が存在するかもしれない可能性については認めてもよいのではないかと考えています。

しかし、あまりにも常識離れした話ばかりがされているのを見て、「ほんの少しでも真面目に考えるなんてバカらしい」と、頭から全否定してアレルギーを起こしてしまう人が少なくないのもまた事実ではないかと思います。

私は、見るからに怪しげな、いわゆる「引き寄せの法則」の中にも、少なくともある程度以上の真実が含まれているのではないかと考えています。
その影響力は、少なく見積もっても、人生を変えてしまうのに十分な力を持っていると思います。
胡散臭い宣伝が多いからという理由だけで、その力を「バカらしいもの」と決め付けてしまうのは、とてももったいないことです。
だからこそ、学問的に厳密なレベルの議論までは難しいにしても、常識的で現実的な思考回路を持った人でも、少なくとも耳を傾けてもらえる程度には地に足をつけた記事を書きたい!

それが、このシリーズを書こうと思った動機のひとつです。

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引き寄せの法則と現実的に付き合うことが大切

またそれとは逆に、おかしな妄信や依存に対して注意を喚起したいという想いもあります。
極端な例だとは思いますが、例えば「引き寄せの法則によればお金のことを考えればお金が手に入るんだ」と信じ込んで、一日中部屋に閉じこもってお金のことばかり妄想しているというような人がいたとしたら、それはちょっと健全ではないでしょう。

「引き寄せの法則」なんて言葉を聞くと、アレルギーを起こして頭から全否定してしまうのはもったいないことですが、このような不健全な妄信にも注意が必要でしょう。

引き寄せの法則のような一見神秘的な現象にも、地に足をつけて現実的に付き合う必要があると思うのです。

「引き寄せの法則」が人生を乱すことだってある!

また、誤解しないで頂きたいこともあります。

それは、このシリーズは、いわゆる「引き寄せの法則」と呼ばれるようなはたらきについて考えるのが目的であって、むやみやたらにこの作用を使うことを薦めるものではないということです。
なぜならば、この作用は使い方次第では人生を損なうことにもなりかねないだけの力を持っていると思うからです。
本人の人生だけならまだしも、周りに悪影響を与えることすらありえます。
ですから私は、むやみやたらと、引き寄せの法則を使うことに対しては、警鐘を鳴らしたいと思います。

この問題については、いずれもっと詳しく書きたいとは思っていますが、現在のところは下の参考記事を読んでみてください。

「引き寄せの法則」を使いたいと思っている人にとっては必読の記事です。

【 参考記事 】

もちろん、これからこのシリーズを読んでいただければわかると思いますが、この作用は、私たちが意識して使おうとしなかったとしても、意図的かどうかには関係なく発動されます。

むしろ、私たちが意識しないうちにその作用をあらわしていることの方が圧倒的に多いくらいだと思います。

ですから、そんな作用があることを知り、上手く付き合っていくことはとても役に立つことだと思います。

私が言いたいのは、「むやみやたらと使わない」ということです。

引き寄せの法則を考えるのに、奇抜な発想はいらない!?

それからもう少しだけ前置きをさせて頂くと、このシリーズの中で紹介する考え方で特に新しいものは見当たらないと思います。

すべて、既にどこかで紹介されている考え方や、それらを組み合せたものです。

これからこのシリーズで書いていくことは、一見それらしいことを書いているように見えて、よく考えてみれば当たり前のことばかりです。

それは、一般的に認められている考え方を使って説明しなければ説得力がないからでもありますし、引き寄せの法則を奇跡的現象としてではなく現実的に捉えようとしている限りは、あまり奇抜なことを考えたりしなくてもある程度は説明できてしまうということでもあるかもしれません。

ですから、何か新しい劇的な考え方などは期待されないようにお願い致します。

では、前置きが多くなってしまいましたが、このシリーズを読んでいただくにあたって、これらをご了承いただければと思います。

引き寄せの法則とは、いったい何なのか?

では、少しずつ本題の「引き寄せの法則」について入っていきましょう。

引き寄せの法則について考えるのに先立って、まずはこの法則が一般的にどのようなものだと言われているのか見てみましょう。

ここでは、「引き寄せ」ブームを巻き起こした最近のベストセラー「ザ・シークレット 」を取り上げてみようと思います。

少し引用してみましょう。

あなたは「偉大な秘密」を手にしています。

この「秘密」は、代々伝えられる中、人々に熱望され、隠され、失われ、盗まれ、莫大なお金で買われたこともありました。歴史上最も著名な人々は、何世紀も前に存在していたこの「秘密」を理解していたのです。プラトン、ガリレオ、ベートーベン、エディソン、カーネギー、アインシュタイン等の発明家、理論家、科学者、偉大な思想家達です。そして、ついに今日、この「秘密」が世界の人々の前に開示されたのです。

「この『秘密』を理解した暁には、あなたは欲しいものを手に入れ、なりたい人物になれ、やりたいことが何でもできるようになるでしょう。また、あなたは、真実の自分を知る事ができます。そして、あなたにはすばらしい人生が待ち受けていることがわかるでしょう」
ロンダ・バーン著 山川紘矢ほか翻訳 「 ザ・シークレット 」角川書店(2007年)カバー裏表紙より

なんとも壮大なはなしですが、その「偉大な秘密」というのはいったい何なのでしょうか?

同書によれば、その「秘密」というのが「引き寄せの法則」だといいます。(同書P.18より)

では、この本では、引き寄せの法則とはどのようなものだと言っているでしょうか?

今考えている事があなたの未来を作ります。あなたは自分の人生を自分の思考で創り上げているのです。そして、いつも思考しているということは、いつも創造しているということになります。あなたが、一番集中して考えること、または一番関心のあることが、あなたの人生で実現していくのです。

[…中略…]

この法則は、あなたが思いを集中させているものどおりのものを単純に返してくるのです。この法則を信じて、あなたが考え方を変えさえすれば、あなたは人生の全ての出来事や状況を完全に変える事ができるのです。
ロンダ・バーン著 山川紘矢ほか翻訳 「 ザ・シークレット 」角川書店(2007年)P.37~38より

この驚くべき「引き寄せの法則」は、いったいどのようなメカニズムではたらくのでしょうか?

この本には、例えば次のように書かれています。

思いは磁石のようなもので周波数のある波動を放射しています。考えるとその思いが宇宙に放射されます。それはまるで磁石のように似た周波数のものを引き寄せます。発信したもの全てが発信源に戻ってくるのです。そして、その源がまさに「あなた」なのです。
ロンダ・バーン著 山川紘矢ほか翻訳 「 ザ・シークレット 」角川書店(2007年)P.37~38より
う~ん、言わんとすることの意味はわかるのですが……。

常識的な思考回路を持った人で、この説明を読んで納得できる人はほとんど居ないのではないかと思います。

既に書いたように、私はこのような神秘的なメカニズムなんて存在しないと主張したいわけではありません。いまの常識ではあり得ないメカニズムであったとしても、そんなメカニズムが存在する可能性を認めることは必要なことだと思います。

しかし、このような説明は、多くの人にとって納得のできないものであるのもまた事実です。

にもかかわらず、引き寄せの法則というと、このような怪しげな説明ばかりが溢れています。

これでは、仮に引き寄せの法則が完全に正しかったとしても、多くの人から相手にするのもバカらしいほどの下らない理論だと思われてしまうのも無理はないでしょう。
しかし、もう少し現実的に考えてみても、少なくともある程度の真実が、引き寄せの法則の中に見つけることができます。

私たちの人生に起こる出来事の原因とは……?

せっかくの機会ですので、ここで、引き寄せの法則について書かれた本をもう1冊見てみましょう。

「引き寄せの法則」という言葉は使われていなくても同様なことが主張されている本は数多く存在しています。

例えば有名なものでは、『「原因」と「結果」の法則 』、『思考は現実化する 』、『鏡の法則 』などがあります。

ここでは、その中でも特にに有名な、『「原因」と「結果」の法則 』をとりあげてみましょう。

「原因」と「結果」の法則

この本の主張をものすごく簡単にまとめてしまえば、

“私たちをとりまく環境”という「結果」は、“思い”という「原因」から発生しますよ
ということです。

心の中に蒔かれた(あるいは、そこに落下して根づくことを許された)思いという種のすべてが、それ自身と同種のものを生み出します。それは遅かれ早かれ、行いとして花開き、やがては環境という実を結ぶことになります。良い思いは良い実を結び、悪い思いは悪い実を結びます。
外側の世界である環境は、心という内側の世界に合わせて形づくられます。
ジェームズ・アレン著 坂本貢一訳 「 「原因」と「結果」の法則 」サンマーク出版(2003年)P.24より
『引き寄せの法則』と『「原因」と「結果」の法則』。言葉こそ違いますが、その主張する内容はほとんど同じと言っていいと思います。

というよりもむしろ、同じ現象に違う名前をつけたのだと言った方が適切なのかもしれません。

そして驚くべきは、この本が100年以上も前に書かれた本だということです。

本書は、英国が生んだ謎の哲学者、ほぼ一世紀前の一九〇二年に書かれたものですが、世界中でいまなお着実に売れつづけているという驚異的なロングセラー書です。正確な数字はわかりませんが、この世界の歴史上もっとも多くの読者を獲得してきた自己啓発書だと言って間違いないでしょう。聖書に次ぐベストセラーだとさえ言われています。
ジェームズ・アレン著 坂本貢一訳 「 「原因」と「結果」の法則 」サンマーク出版(2003年)P.2より
この本は100年も前に書かれ、「聖書に次ぐベストセラー」と言われるほど売れた本だといいます。

『引き寄せの法則』と、『「原因」と「結果」の法則』。呼び方は何にせよ、この法則は、少なくとも直ぐに忘れ去られてしまう程度の法則ではないということです。

それは、この法則の真実性からくるものなのでしょうか?それとも、その不思議な魅力から語り継がれる迷信なのでしょうか……?

その謎は、これから解き明かしていくことにしましょう。

引き寄せの法則の定義

と言いたいところですが、長くなってしまうので、今回の記事は、あと1つだけ引き寄せの法則について考えるための準備をして終わりにしたいと思います。

その準備というのは、このシリーズでは

“「引き寄せの法則」とは、こういうものだとして扱いますよ”

という定義をあらかじめしておきたいというものです。

一言で「引き寄せの法則」といっても、いろいろなことを言う人がいるので、あらかじめ定義を決めておかないと混乱してしまう可能性があるからです。


【 定義 】
このシリーズでは、引き寄せの法則とは、

「その人の“信じていること”、“考えていること”、“心に思い描いたこと”が、その人の現実になる方向へとはたらく作用」
であると考えることにしたいと思います。

(本当は、「その人の意識の状態が、その人の現実をつくる」というような表現にした方が私はしっくりくるのですが、こんな表現ではわかりにくく、語弊もあるかもしれないので、ここでは上のようなものとして扱いたいと思います。)

では、いよいよ次回から、引き寄せの法則の含まれる真実について考えていきたいと思います。

メンタルトレーニングの方法論が教える、能力を“出し切る人”と“空回りする人”のちょっとした違い【引き寄せの法則をちょっと科学的に2】
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